コラム

みどり動物病院 コラム

お薬を飲んでもらう工夫

先生    「お薬だしておきますから飲ませてあげてくださいね。」

患者さん 「はい、わかりました。」

さあ、薬を口に入れて、コップ1杯の水をゴクゴク、ゴックン。

人の場合はこのように飲むことが多いですが、動物の場合はそう簡単にはいかない事の方が多いですよね。

 

皆さんは、どのようにお薬を飲ませていますか? 

飼い主さんも動物もお互いに負担がなく飲める方法は、

〇 おいしい味のお薬で喜んでそのまま飲んでくれる

〇 食事に混ぜて気づかないうちに飲んでくれる

などではないでしょうか。

でも、苦い味や大きい錠剤のためにペッと吐き出してしまったり、においで気づいて薬だけ残してしまったり、

薬を準備する間に隠れてしまったり、嫌がって咬まれてしまったりと、投薬に苦労される方はたくさんいらっしゃると思います。

「いつもは食事に混ぜてるけど、食欲がなくて薬を飲ませられないがどうしよう。」と困る事もあるでしょう。

 

さて、今回はお薬のいろいろな飲ませ方をご紹介します。

①錠剤の場合

〇 好きな食べ物に混ぜる

「食欲が落ちている時でもこれは食べてくれる」そんな大好きな食べ物がある場合は、その中に混ぜてしまいましょう。コツは、薬が入っていても気づかず食べてくれるようにする事です。美味しいものに包みこむのが良いでしょう。最初からお薬が入っているものをあげて気づかれてしまうと次からは警戒して食べてくれない事もあります、賢いですね~。

ですので「1(ワン)、2(ツー)、3(スリー)!」がいいです、何かといいますと、「1、好物だけ」「2、お薬入りの好物」「3、好物だけ」と順番に食べてもらいます。特に2→3の時は素早くするのがコツです。

 

〇 投薬用のグッズを使う

当院で取扱いのあるものを2つご紹介します。

【お薬ちょーだい】チーズ味で水あめのような形状です、ワンちゃんの投薬時に使うことが多いです。

【投薬用ちゅ~る】CMでおなじみの「ちゅ~る」の投薬用バージョンです。市販のちゅ~るより粘度が4倍あり薬に絡めやすいです。動物病院でのみ販売しているようです。

 

〇 お口の奥へつっこむ

何かに混ぜる方法ではどうしても飲んでくれない時はお口の奥へいれてゴックンしてもらいます。空腹時に飲む必要があるお薬もありますので、その際もこの方法で飲んでもらいます。

「お口を開ける→奥の方へ薬を入れる→お口を閉じる→飲み込み確認」

こんな感じです。なかなか飲み込まない時は、のどをさすったり、スポイトでお水を飲ませたりするとよいでしょう。

猫ちゃんの場合は、飲み込んだものが食道を通って胃まで到達する時間が長いため注意が必要です。お薬の種類によっては食道に滞る時間が長いと食道に悪い影響がでることもあります。ですので、投薬後はお水を飲ませてあげるようにしましょう。

 

②粉薬の場合

〇 錠剤と同じように、好物にまぜたり投薬グッズを使う方法

 

〇 お水に溶かす

少量の水で溶かして液体にしてスポイトでお口へ流し込みます。

 

〇 歯肉や上アゴにつける

お口を触っても平気な子で、味の気にならないお薬ならこの方法もあります。

 

〇 ほんの少しの水で練る

上記と同じ様に歯肉や上アゴに塗りますが、粉のままだと難しい時はこうすると塗りやすいです。

 

③カプセルの場合

〇 錠剤の場合と同様の方法

 

〇 中身だけで与えてもよいお薬なら、カプセルをはずして中身だけにする方法

 

★錠剤や粉薬を飲ませるのが難しい場合、空のカプセルにいれて飲ませる方法もあります。

カプセルに詰め込む作業は手間ですが、お薬の味がなければ飲んでくれる時はこの方法が使えます。

私は毎日自分の猫に錠剤の薬を数種類飲ませています。以前はそのまま口へ入れる方法で何度も口を開けて飲ませており大変でした。最近はカプセルに詰めて投薬するようにしています。この方法だと口を開けるのが1~2回で済み、猫も私も投薬へのストレスがだいぶ減りました。

 

★食べ物と一緒にお薬を飲ませる場合、種類によってはお薬の吸収を阻害したり、効果が強く出すぎてしまうことがあります。また、薬どうしも飲み合わせによっては効果が弱くなったり強くなったり副作用が出たりすることがあります。わからない時はお気軽にご相談ください。

 

1番大切なのは、頑張ってお薬を飲んだ時に褒めてあげることだと思います。

「いい子だね~」「上手だね~」「お利口さんだね~」と褒めて、ヨシヨシしてあげましょう。

 

動物看護師 安部

 

2018.07.31
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