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みどり動物病院 コラム

春の気候でも熱中症になる
季節も5月に差し掛かり、暖かい気候になってきましたね。
天気の悪い日ではまだ肌寒いですが、暖かい日差しが出ている日では意外と暑さを感じる時があると思います。
一時的ではありますが4月中の名古屋市での最高気温は13日に約29℃記録しており、この日は車に乗った際に車内がかなり高温になっていて、まだ4月なのにまるで夏のようだと自分は驚きました。

そしてこの車内の暑さでふと思ったのが、熱中症です。
毎年、夏になるとテレビCMでは熱中症の注意を促す放送がされているため、熱中症について知らない方は少ないかと思います。
この時期になるとニュースでも、何らかのイベント中に熱中症で何人が倒れて病院へ搬送された等と報道があったりしますね。
人が倒れて病院へ緊急搬送されるような熱中症ですが、当然の事ながら動物にも起こりえます。
犬や猫は人間と違い、全身が毛で覆われており人のように肌で汗をかいて体温を下げる事が不得手な動物です。
それ故に人間の感覚で生活をさせていると、思わぬ所で熱中症を引き起こす可能性があります。

通常、人間も犬・猫も個々に一定の体温を持っており、寒くなれば震えて体温を上げようとしたり、熱くなれば汗をかいて体温を下げようとしたり、平熱へ体温を戻そうとする反応があります。
しかし体温が上がりすぎて、体温調整機能がうまく働かなくなり、体が高体温を保ち続けている状態を熱中症と言います。
このとき体温は40℃以上に陥っている場合が殆どです。
そして熱中症による高体温・脱水・電解質異常などが原因で体内が深刻なダメージを受け、最終的に死亡してしまう事もあります。

冒頭で少し触れたように車の中と言うのは高温になりやすい場所です。
ほんの短時間、車を放置しておくだけでも車内は凄まじい高温になります。
JAFの検証に、条件を変えた車両5台を外気温35℃、昼の12時から4時間放置した場合の社内温度の変化を記録した物があります。
結果によるとサンシェードが有っても、窓を少し開けていても、開始30分で車内温度は40℃を超えるようです。
唯一エアコンを稼働していた車両のみが車内温度を適切に保っていましたが、エアコン停止後わずか5分で車内温度が5℃上昇したとの事です。
別の検証では5月上旬の外気温24℃±の環境での車内温度を計測した記録もあります。
これも1時間程度で温度が37℃~43℃に到達したと結果が出ています。
以上の結果から見て分かる通り、放置された車内はとても高温になりやすく危険です。
もちろん、夏の車内にわざわざ動物を残して去る飼い主さまはまず居ないと思いますが、注視するべきなのはごく短時間で高温になると言う事です。
ちょっと買い物するだけだから、と言うような時間でもまさかの事態になる可能性は十分にあります。
これから徐々に暑くなってきますので、この記事を少しでも気に留めておいて頂ければ幸いと思います。

人も動物も熱中症には十分気を付けてお過ごし下さい。

動物看護士 比古矢

引用
・JAFホームページ 「車内の環境」
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature

2022.05.03
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