猫の慢性腎臓病
猫は高齢になると腎臓の機能が低下することが多く、猫の死因の上位には必ず腎臓病が入ります。
猫が慢性腎臓病になると、多飲多尿、食欲不振、嘔吐・下痢、脱水といった症状が出ます。
現在のところ、猫の慢性腎臓病を治す治療は存在せず、一度落ちた腎機能はもとに戻すことはできません。
したがって、猫の慢性腎臓病の治療は現在残っている腎機能の維持に重点を置いたものになります。
治療法としては、
腎臓療法食:腎臓に負担をかけない食事を与えます。
点滴:脱水を補正することにより腎臓への負担を軽減します。
心臓薬:血管拡張による腎臓への血液量(腎血流量)の維持と腎障害を起こす物質を抑制します。
吸着剤:腎臓から排出される毒素やリンを吸着します
などが存在します。
しかし、気づいたときには慢性腎臓病がかなり進行している状態ということも少なくありません。
そのため、重要なのは慢性腎臓病の早期診断と早期治療になります。
最近SDMAという血液検査が慢性腎臓病の早期診断マーカーとして使うことができるようになりました。
今までは腎機能の75%が失われた際に上昇するCreが腎臓病のマーカーとして使われていました。
SDMAはCreより先に上昇する腎臓病のマーカーとして有用であるということがわかっています。
また最近、早期治療としてベラプロストナトリウムというお薬を使うことも出来るようになりました。
ベラプロストナトリウムは猫の慢性腎臓病を適応症として作られたお薬で、腎臓病の進行を遅らせるのと共に食欲改善効果や便秘解消効果なども認められています。
このように猫の慢性腎臓病は早期診断と早期治療がとても重要になります。
自宅に7歳以上の中高齢の猫ちゃんがいる場合は一度腎機能のチェックをしてみてはいかがでしょうか。
2018.02.28