こんにちは、動物看護士の比古矢と申します。今回は私からコラムを投稿いたします。
外の様子も、寒い冬が終わり春隣と言った日差しになってきましたね。
春近い今、ノラ猫の子達も繁殖のシーズンを迎えているようです。
外で子猫を見掛けた方も居ると思います。
それに比例してか、動物病院にもノラの子猫を連れていらっしゃる方が今ちょうど多いです。
その理由は、母親に育児放棄された子、あるいは衰弱して保護された子、あるいは捨てられた子……などと言ったものがほとんどです。
子猫を育てる為に、当院でも子猫用のミルクや哺乳瓶をお出しする事が多いです。
そこで今回はそんな子猫についてお話ししようと思います。
子猫を保護された方には、ねこや動物を飼った事のない方もいらっしゃいます。
そこでよく投げかけられる疑問が「いま生後どれくらいなのか」「エサはどうすればいいのか」と言った育て方の疑問です。
まず生後齢ですが、我々は主に目と歯を見て判断しています。
完全に目が閉じている場合は本当に生後すぐ、生後0~7日の状態と言えるでしょう。
目が開きかけ、開いている場合には7日前後は経過していると思われますが、目の開き方には個体差があります。(開きかけ~開くのにも数日要す時もあります)
次に乳歯ですが、生後14日~21日目には乳歯が伸びてきているのが確認できます。
乳歯が揃ってきているのなら一カ月は経過していると見てよいと思います。
と言った形で生後齢を判断しています。もっとも、参考にしている書籍や教えによってまちまちなので、だいたいこれくらいと言う認識で十分だと思います。
生後齢がだいたい分かったら今度はエサについて考えなければいけません。
目が閉じた生後数日の状態なら、子猫用ミルクを2時間置きに与えるのが理想です。
生後7日~14日辺り、目が開いたのなら3時間置きに間隔を伸ばして大丈夫でしょう。
乳歯が生えてきたら1日5~6回程にしても大丈夫でしょう。
また、ネコの母乳と牛乳や山羊乳では成分が異なるため、必ず子猫用ミルクを正しい濃度で買い与えましょう。子猫用ミルクはネコの母乳に近い成分で作られています。
乳歯が生え揃ってきたら、離乳食を始めます。
当院ではよく、乳歯生え途中から子猫用ミルクに離乳食をほんの少し混ぜて味を覚えさせ、皿に離乳食を置いて自力で食べられるように誘導しています。(最初は離乳食を踏み荒らされますが、根気よく続けます)
離乳食をしっかり食べられるなら、ふやかしたドライフードなど顎を使って食べる食事を始めてもよいでしょう。最終的には子猫用ドライフードをそのまま与えられるのが目標です。
と言った具合に食事を準備していくとよいでしょう。
生後すぐの体が小さい時期は飲めるミルクの量も雀の涙なので、とても大変ですがとにかく細かくミルクを与えなければなりません。
食事の間隔を開けすぎてしまうと低血糖を引き起こし、命を落とす危険があるため、とても大事なお世話です。
また、ミルク~離乳食を与えている内は排泄も人の手を介してあげなければなりません。
本来の子猫は、親猫が子猫の肛門・陰部を舐めることで、その刺激による排便・排尿を行います。
親猫が居ない代わりに、排泄も人間が促してあげる必要があります。
これは割と簡単で、軽く濡らしたコットンやティッシュでやさしくこすってあげると排泄してくれます。
重要なのは、排尿は陰部、排便は肛門とそれぞれ別で刺激してあげなければならない事です。
ミルク~離乳食のお世話ごとに刺激してあげるとよいでしょう。
だいたい一カ月程度で自分から排泄するようになります。時期が近づいたら、敢えて排泄の刺激を与えずに様子を見てもよいかもしれません。(しばらく排泄が確認できなかったら、再び刺激による排泄は行います)
あと重要なのは保温です。
子猫は脂肪が少ないため、あっと言う間に体温が下がり、衰弱します。
本来は親猫にくっついたり、ほかの兄弟と団子になったりしてお互いに温め合うのですが、それが叶わぬ以上は人間の力が必要です。
温める方法は多種多様ですが、大事なのは熱源を直に置かない、と言う所でしょう。
必ず熱源にタオルを巻く、毛布を上にかけるなどの工夫をしましょう。
当院ではよく電子レンジで温められる保温剤や、お湯を500mlペットボトルに入れたものにタオルをしっかり巻いたものを2本ぐらい入れて、保温剤として使う事が多いです。
これも毎回のお世話ごとに温めなおしてあげられれば理想的です。
子猫の飼育スペース全てを温めるのでなく、子猫が自分で熱い所と涼しい所を行き来できるよう考えて設置してあげるとよいでしょう。
あとは子猫の社会化とか、予防とか……大切な話はまだまだありますが、ひとまずこれで今回の話を終わりとします。
子猫の飼育を続けるならば幼齢期の社会化は子猫の性格形成に関わる事ですので、スタッフに聞いて頂けるか、インターネットにも子猫の飼育を含めて詳しく載っていますので御覧いただければと思います。
みどり動物病院 比古矢