コラム

みどり動物病院 コラム

冬の尿石症にご用心

こんにちは、動物看護士の比古矢です。

まもなく2017年も終わりを告げようとしています。師走の時期、来る年を迎える準備で皆さませわしない事と思います。

外の天気も暖かい陽光が差し込む日もありますが、身を切る冷たさの風が吹く事が多くなってきたように感じます。

名古屋では少し雪が降った時もありましたね。

私は朝出勤したり、夜帰宅したりする時は寒さでブルブル震えながら帰っています。

 

こんな寒さともなると体調を崩しやすくなりますね。

周りでは風邪をひいてしまい、大変そうな人を見かけます。

この時期はインフルエンザも怖いですね。

 

ところで冬に風邪が流行るように、動物にも冬や寒い季節に掛かりやすい病気があるのです。

それは【尿石症】と言います。

この病気の概要は、尿中に含まれるミネラルを主とした成分が結合して一つの塊となる病気です。

はじめは肉眼で確認できない小さな「結晶」となって尿中に現れますが、症状が進行するとこの結晶同士がさらに結合して、肉眼で見える程の「結石」と変化します。

特に結石になると厄介なもので、おしっこと一緒に外に出てくる時もありますが、尿の通り道に結石が詰まっておしっこが出なくなる!と言う場合があります。

こうなってくると緊急です。すぐに尿の通り道に管をいれるなどして結石をどかさないといけません。

 

この結石が詰まる症状は特に【オスの猫ちゃん】に多く起こります。次にオスの犬ちゃんです。

なぜオスかと言うのは、オスはメスに比べて尿の通り道「尿道」が長くて先細りな為、構造上つまりやすいのです。

無論100%メスでは起こらない訳では無いのでご注意くださいね。詰まりにくいだけで結晶も結石もできます。

 

そしてなぜ猫ちゃんに多いかと言うと、猫の祖先はもともと砂漠で生活していたと言う話はご存知でしょうか。

砂漠で生きる為に、水分はとっても貴重なものです。その水分を尿として次々と外に出してしまうと水不足になってしまいます。

ですが尿を出さないと体に毒素が溜まって死んでしまいます。

という話から、猫ちゃんは水分を節約する為に「最小限の水分」を使って尿を出すようになりました。

「最小限の水分」と言うことは、とても「おしっこが濃い」と言う事ですね。

おしっこが濃いと言うことは、尿中に含まれているミネラルその他の成分も多いため、どんどん結晶・結石が生まれてしまう……と言う理屈になります。

 

最後になぜ冬に起こりやすいかと言うと、飲水量が減ると言う要因が考えられます。

季節の影響で運動量が減り、水を飲む事が少なくなります。

また、生体的にも水を飲む量が減ると「あ、水が入ってこないから水を出さないようにしなきゃ」と体が水分を節約する状態になります。

これもおしっこを濃くしてしまう原因ですね。

ですので水分摂取量を増やして尿を希釈(うすくする)する、頻繁におしっこをする事で膀胱内をきれいにするのも十分に効果があります。

 

と言った感じで様々な要因があります。

この季節はおしっこが出ないと言う事で運ばれてくる猫ちゃんが多いのでコラムにしてみました。

もしも「うちの子は大丈夫かな?」と思ったら、犬猫問わず、尿検査をオススメします!

動物を連れてこなくても尿さえあれば検査できますし、尿成分を見ることで腎臓や肝臓の働きを簡単に見ることもできますよ!

ただし採ってから時間の経った尿は検査の正確性を損ないます。

採れたらすぐが望ましいですが、2時間くらいなら冷蔵すればオッケーです。

 

また飲み水に関しても……

・冬の水は飲み水には冷たいため、少しぬるくした飲み水にする。

・水飲み場の場所を増やす。

・ドライフードをウェットフードにする。あるいはドライをふやかす。

・トイレを温かい環境に置く。(気軽におしっこさせる)

 

などなど、少し工夫してみるのもいいですね。

 

今回のコラムは以上です。

今年一年ありがとうございました。

新年も動物たちが健やかなる一年でありますように。

 

みどり動物病院 動物看護士 比古矢

2017.12.30
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