犬は虫歯にならないらしい!
こんな話を私は学生の時に聞いて、ビックリしました。正確には、全く虫歯にならない訳ではなく、人と比べると少ない、という程度らしいです。
その理由として、主に以下3つの理由が考えられます。
・犬の唾液はアルカリ性(人は酸性)であり、口の中で虫歯菌が繁殖しにくい。
・犬は唾液にアミラーゼという、炭水化物を糖に分解する消化酵素を含まないため、虫歯菌のエサとなる糖分が少ない。
・人と歯の形、生え方が異なるため、歯垢が溜まりにくい。
確かにこういった理由で人よりは虫歯になりにくいかもしれません。しかし、私たちが普段の診療でシニア犬を見る際、口腔内に異常が全くない犬を見ることはかなり少ないです。
シニア犬の多くには虫歯がなくても、歯石の沈着および歯周病が認められます。
歯周病は、歯の表面および歯間に溜まった歯垢や歯石内の細菌が歯肉に感染し、口の中に炎症を起こす病気です。虫歯と同じように口臭に変化がみられ、歯肉が赤くなる、下がる、また出血するなどの症状が出ます。
この状態でさらに放置してしまうと、歯肉以外の歯周組織にも炎症が広がり、くしゃみや鼻水、鼻出血、頬の腫れ、眼の下の膿(皮膚が破れる)、下顎の骨折が起こってくることもあります。また、細菌が原因で内臓の病気になることもあります。
重症化してしまった場合は、原因となっている歯を抜く必要があるため、全身麻酔下での歯科処置が必要です。
しかし、高齢である、また持病があるなどの理由で、全身麻酔をかけるリスクが高く、歯周病に対する適切な治療を断念せざるを得ない子もいます。
そこで大事なのは予防です。
犬の歯垢は3日で歯石になってしまうため、当院では1〜3日に1回の歯磨きを推奨しています。
歯磨きの方法、道具に関してはわんちゃんの性格を考えた上で選択した方がいいので、わからない場合はお気軽に当院スタッフへご相談ください。
阪野