暑い日が続いていますが、セミの鳴き声も徐々に減って夏もいよいよ終盤ですね。
今日は院内で1番若々しくエネルギッシュな院内犬の仲間を紹介します。
ヨークシャテリアのあさりです。
去年の10月に生後2.3週、体重わずか110gという小さな身体で病院にやってきました。
この子は口蓋裂という奇形をもって生まれてきました。
口蓋裂とは身体の形成過程の異常によって鼻と口を隔てる上顎(口蓋)に裂け目ができる状態で、
あさりは口蓋の手前(硬口蓋)から奥(軟口蓋)まで裂け目ができていたため、自分でミルクを飲み込めず、上手く身体の発育ができずにいました。
ほかの兄弟と比べても身体は小さく、とても弱々しい状態でした。
治療は手術による外科治療ができますが、手術をするためにはまずある程度身体を成長させなければならないため、しばらく人の手で哺乳を行う必要がありました。
普通の子犬のように哺乳瓶で自ら吸うことが困難なため、口から食道・胃の近くまで細いチューブを入れる人工的な給餌をスタッフで協力して行いました。
しかし、この方法は命の危険性が大変高い行為です。
慎重に行わないと、チューブを入れる際、誤って気管に入ってしまう恐れがあり、誤嚥性肺炎を引き起こし、命の危機に陥ってしまいます。
リスクがある中で1ヶ月程毎日3.4時間おきにこの方法でご飯を与えました。
ある程度身体が大きくなってきてからは、首にカテーテル(経咽頭カテーテル)を設置できるようになりました。
この方法だと誤嚥のリスクも少なく、安全にカテーテルから液体状のご飯を流すことができます。
徐々に身体がしっかりして体重1kgになってからようやく手術を行うことができました。
あさりの口蓋裂はかなり広い範囲で喉の奥まで裂けていましたが、可能な範囲で穴を塞ぐことができ、術後は自力でご飯が食べられるようになりました。
今ではすくすく育ち、1.8kgにまで成長しました☺︎
手術ができるまでの間は多くの気力と神経を使いスタッフで協力し合いながらこの子の面倒をみましたが、何よりもあさり自身の生きる力がとても強かったおかげで、ここまで元気に育ってくれたと感じています。
これからもスタッフをたくさん癒してね!
AHT下村