動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

SUBシステム

SUBシステムとは「Subcutaneous Ureteral Bypass」の略で、腎臓から膀胱へのバイパスを作るためのインプラントになります。SUBシステムは従来の方法(尿管ステント設置術や尿管切開術等)と比較して再閉塞のリスクが少なく、手術時間もステントに比較して短いというメリットがあります。そのため、尿管閉塞への適応やその効果が期待されています。

 

 

近年、尿管閉塞は、ネコの腎臓病の原因として報告が非常に増えてきています。

急性腎臓病の3割以上は尿管閉塞が原因であり、慢性腎臓病でも尿管閉塞が原因となっているケースが多いという報告もあります。

 

 

腎臓で作られた尿は、尿管を通り膀胱に貯留されていきます。特にネコの尿管は非常に細く、結石や炎症により閉塞を起こしてしまうことがあります。人と同様にネコも腎臓は2個ありますが、すでに片側の機能低下が起きていたり、両側同時に閉塞が起きると急性腎不全に陥るために早急な治療が必要になる場合もあります。

 

尿管結石や膀胱腫瘍などに罹患した症例に対し、水腎症(尿管の通過障害により腎臓が拡張した状態)による腎障害の回避や排尿状態の改善を目的として、腎臓から膀胱へのバイパスを形成します。

当院で使用しているバイパスシステムは(米国NORFOLK VET PRODUCTS社製)の犬猫専用のものです。

 




中央の皮下チタン製洗浄用ポート、腎臓に設置するロッキングループカテーテル(写真左側)および膀胱へ設置するカテーテル(写真右側)より構成されます。

 

腎臓から出た尿はポートを通り、尿管を迂回して膀胱に流れ込みます。

尿管とは別のルートを確保するので、尿管が閉塞していても問題が無く、尿管断裂などが起きたとしても尿の漏れのリスクを回避出来ます。

 

 

術後に定期的なSUBシステムの洗浄にて、再閉塞の予防を行います。

SUBシステムの洗浄は、無麻酔で行うことが出来ます。

 

施術をご希望の飼い主様は診察、検査(血液検査・レントゲン造影検査・超音波検査等)を受けていただきSUBシステム設置が適応かを判断させて頂きます。

 

2020.09.19