犬猫で生じる様々な中毒
犬猫でよく遭遇する中毒には以下のようなものが存在します。
①チョコレート中毒(犬猫)
チョコレートに含まれるテオブロミンやカフェインなどのメチルキサンチンが中毒を引き起こし、痙攣発作、下痢・嘔吐、頻脈・不整脈を引き起こします。カカオの量が多いほど中毒を引き起こす可能性が高く、ミルクチョコレートのほうが中毒を引き起こす可能性が低くなります。
②キシリトール中毒(犬)
犬は、人とはキシリトールの代謝経路が異なり、キシリトールの摂取がインスリンの分泌を促進し低血糖を引き起こします。低血糖の他には急性肝不全を引き起こすといった報告もあります。
③エチレングリコール中毒(犬猫)
エチレングリコールは、自動車の不凍液や一部の保冷剤(現在はほとんど使われていない)などに含まれ、急性腎不全を引き起こします。一般的に犬よりも猫での死亡率が高いです。
④タマネギ中毒(犬猫)
タマネギに含まれるn-プロピルジスルフィドという物質により、溶血性貧血を引き起こします。タマネギだけでなく、ニンニク、ネギ、ニラなどを摂取した場合も同様の症状が発生します。
⑤ブドウ中毒(犬)
ブドウやレーズンを摂取することにより急性腎不全を発症します。原因物質もいまだに不明で、中毒量もいまだに分かっていません。
⑥ユリ中毒(猫)
ユリを摂取することにより、急性腎不全を引き起こし、死亡率も高いです。有毒成分はわかっていません。
様々な中毒が、犬猫には存在し、摂取してしまった場合、摂取後数時間であれば催吐処置を行うことができます。
当院では、
犬に対してはアポモルヒネの静脈内投与(催吐率はほぼ100%)、
猫に対してはメデトミジンの皮下投与もしくは筋肉内投与により催吐を試みています。
2021.04.11