エプーリスとは、歯肉に生じた増殖性のしこりを総称した臨床の現場で使う言葉です。
エプーリスと呼ばれる病態はいくつか存在します。
「線維性エプーリス」「巨細胞性エプーリス」「線維腫性エプーリス」などさまざまな分類があり、非常に分かりにくかったのですが、近年呼び方や分類が改訂され、分かりやすくなりました。
現在エプーリスは大きく炎症性と腫瘍性に分かれます。
炎症性病変→限局性歯肉過形成
腫瘍性病変→周辺性歯原性線維種
棘細胞性エナメル上皮腫
このように現在の分類では「エプーリス」という言葉すら撤廃されつつあります。
これらは見た目では、その他の炎症性疾患や腫瘍性疾患と区別ができません。なので確定は病理組織検査になります。
治療
限局性歯肉過形成
これは口の中の外的刺激や炎症が原因で発生する。基本的に外科切除が適応になります。そして、歯垢・歯石の除去も行います。
周辺性歯原性線維種
歯根膜(歯の根っこの部分を覆っている膜)由来の良性腫瘍のため、外科切除が適応です。しかし、見た目で問題がありそうな部分のみ切除すると再発するリスクがあります。再発した際はその場所の抜歯をして、歯根膜を削る必要があります。
棘細胞性エナメル上皮腫
良性腫瘍に分類されてはいるが、再発が非常に多く、骨にも浸潤していきます。
そのためこの腫瘍は腫瘍の周りの正常組織を含めて切除したり、顎の骨を一部削ったりする必要があります。また、放射線も比較的効きやすいため、完全に取り切るのが難しい時に選択肢として挙げられます。
口の中にはこれら以外にも様々な疾患が発生しますが、見た目だけでは分かりません。定期的に口の中を観察していただき、何か膨らんでいるものがあれば、来院をおすすめします。