肛門周囲腺腫
【病態】
肛門周囲の皮脂腺が腫瘍化したもので、性ホルモンが関与していると考えられています。なので、未去勢の雄で多く発生します。雌でも発生しますが、その頻度はあまり多くありません。
【診断】
肛門周囲の毛が生えていない部分にしこりとして発生します。1つだったり複数あったりします。基本的に良性病変なのでゆっくりと進行しますが、大きくなると表面が潰瘍化して痛みを伴う場合もあります。
診断には針生検(ふくらんでいる腫瘤部分に針を刺して細胞を確認する検査)が必要になります。
【治療】
基本的に肛門周囲腺腫の治療は、去勢手術が第一選択になります。去勢手術を行うことで性ホルモンがでなくなり、腫瘍が消失、もしくは縮小することがあります。もし完全に消えない場合は、相談のもと外科的に切除することもありますが、肛門周囲の腫瘤を切除することにより、便失禁のリスクがあります。
腺腫の場合、転移はしないので抗がん剤や放射線などの治療は適応になりません。
このように肛門周囲腺腫は去勢手術や外科的な摘出で治る可能性が高い腫瘍です。
もし肛門付近に膨らみを見つけたら、早めの来院をお勧めします。
2023.06.27