モンテジア骨折
肘関節は、
上腕骨および隣り合わせに並んでいる橈骨(親指側の骨)、そして尺骨(小指側の骨)と呼ばれる2本の前腕骨から構成されている関節です。
この3本の骨はお互いに接触しており、肘関節のまわりは筋肉や腱に囲まれて補強されています。
犬や猫は肘関節に、高所からの落下や交通事故などで大きなケガを負ってしまう場合があります。
その中の1つであるモンテジア骨折についてお話しさせて頂きます。
モンテジア骨折とは「橈骨頭の脱臼を伴った尺骨近位の骨折」と定義されています。
犬でも起こりますが、猫で起こることが多い骨折です。
橈骨の脱臼の方向に基づいてⅠ型からⅣ型に分類されます。
モンテジア骨折は稀な前肢の骨折で、骨折・脱臼の整復および機能回復のために早期の外科的治療が必要な骨折です。
ギブス固定などの外固定治療だけでは骨癒合不全を起こす可能性が非常に高いため、外科手術が必要な骨折です。
側副靭帯断裂・輪状靭帯断裂・軟部組織の損傷などにより橈尺関節脱臼を併発しているケースには、尺骨の骨折の治療に加えて橈尺関節を整復し、安定化させる必要があります。
橈骨頭脱臼を整復した後に骨プレート・スクリュー・アンカースクリュー・サークラージワイヤー・ファイバーワイヤー・髄内ピン、などで尺骨の骨折を固定し、橈尺関節間を貫通させたスクリューなどにより橈尺関節を安定化させます。
モンテジア骨折は、他の単純な骨折とは異なり、骨折の仕方や脱臼の仕方に複数の種類があるので、骨折の手術の中でも非常に難易度の高い骨折です。
手術後は前肢に負荷が掛からないように安静に過ごしてもらい、骨折部の癒合を見守ります。
経過によって設置した骨プレートやスクリュ-などのインプラントを抜去することもあります。
ご心配なことやお困りのことがありましたら、お気軽に当院までお問い合わせください。
みどり動物病院
2023.07.07