動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

犬のライム病

ライム病は、ボレリア属細菌により引き起こされる感染症となります。

最近では、EXILEのATSUSHIさんが罹患し、ニュースとなりましたが、犬にも発生する感染症となります。

一方、猫に対する病原性はよくわかっていません。

欧米ではBorrelia burgdorferisense strictoが、人と犬に高い病原性を示すことが分かっていますが、日本では確認されていません。

日本では、主にB.garimiiにより人と犬のライム病は引き起こされます。

B.garimiiは寒い場所に生息するシェルツェマダニにより媒介されるため、犬のライム病は主に北海道で報告されています。

シェルツェマダニ

シュルツェマダニ - Ixodes persulcatus - JapaneseClass.jp

症状としては、発熱、食欲不振、元気消失、歩行異常、起立不能、末梢神経症状、痙攣、下痢、結膜炎などを引き起こします。

日本では、犬のライム病は発症しても比較的軽症、また臨床症状が非特異的であり、また特異的検査法がないため、確定診断が難しいとされています。

そのため、ライム病が疑わしい症例がいた場合、血液、関節液、脳脊髄液などを用いて、PCR検査を実施し、ボレリア属菌を検出し、診断を行う必要があります。

治療としては、テトラサイクリン系もしくはペニシリン系の抗菌薬が有効とされています。

基本的には、日本で認められる犬のライム病は、病原性が弱く、また抗菌薬による治療が効果的であるため、予後は良好であるとされています。

海外や北海道に行く際は気をつけないといけない感染症となります。

2023.09.30