動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

脛骨・腓骨の骨折

       



「脛骨」 

脛骨とはスネの骨のことで、脛骨の骨折は犬や猫で比較的多く遭遇します。 
脛骨骨折は高所からの落下・転倒・交通事故などが原因で発生します。 
脛骨の内側は軟部組織が少ないので、簡単に骨を触ることが出来ると思います。 
それ故に脛骨が骨折した際、折れた骨が皮膚を突き破る開放骨折が発生してしまうことがあります。 

開放骨折とは、骨折した骨が体外に露出してしまった状態です。 
そのため環境中の雑菌が骨に容易に付着して、 
雑菌による感染症を引き起こす可能性が高くなり、骨折の治癒が難しくなるだけでなく全身状態も危険に晒されてしまいます。 

開放骨折の他にも粉砕骨折 、亀裂骨折などの治療が困難なタイプの骨折が発生しやすく、整形外科手術が必要になるケースが多く見られます。  
骨折の種類 、折れている箇所、動物の体重、年齢、開放骨折の有無などを判断基準にして治療方法を決めて行きます。 

外科手術ではインプラントを使用して折れた骨を繋ぎ固定します。 
使用するインプラントとしては、プレート、スクリュー、キルシュナーワイヤーなどがあります。
プレート固定、髄内ピン、創外固定、テンションバンドワイヤー、クロスピンなど様々な手術の方法が存在します。 

 
「腓骨」 

腓骨は脛骨の外側にある細い骨で、 
腓骨と脛骨は平行に並ぶような形で存在しています。 
脛骨と腓骨の骨折は、両方同時に発生することがほとんどです。 
荷重のほとんどは脛骨が支えており、腓骨は荷重を少し支えている程度です。 
そのため、脛骨・腓骨の骨折の治療は脛骨を癒合させることを目標とします。 

しかし腓骨にも立派な役割があります。 
歩行時における脚への衝撃吸収です。 
歩行時には地面から反発力を受けるので、吸収しながら歩いたり走ったりしなければなりません。
この際、歩くことによる衝撃を、腓骨が吸収してくれるので、スムーズに歩行や走行ができるのです。 
また、腓骨が存在することで、その下にある足根関節を、様々な方向に動かせるという役割があります。 
2024.01.19