動物たちの病気 症例集診療内容の一部紹介

動物たちの病気 症例集

緑内障

眼球の中には房水という透明な液体が存在しています。

 

房水は、角膜・水晶体・硝子体など眼球内で血管のない組織に栄養分を与えたり、老廃物を除去する役割を担っており、眼球内の毛様体という部分で産生されます。

 

眼球内では房水が循環していて、房水の産生と流出(排出)は一定に保たれており、眼圧が維持されています。

 

緑内障とは、この房水の流出が様々な理由により阻害され、眼圧が正常値よりも上昇してしまった状態のことです。

 

眼圧が上昇した状態が継続すると、視神経の細胞が圧迫されて死滅してしまうため、失明につながることがあります。

 

眼圧の正常値は、犬では10~20mmHg、猫では15~25mmHgと言われています。

 

眼圧が犬で25mmHg以上、猫で27mmHg以上の場合、緑内障を疑います。

 

眼圧が60~70mmHgと非常に高値の場合には24~48時間以内に完全に失明してしまいます。

また、眼圧の上昇が緩徐な場合には視覚を消失するまでに数週間から数か月を要します。

 

緑内障は先天性、犬種特異的、遺伝性等の原因による原発性緑内障

他の眼の疾患や外傷等に続発する続発性緑内障に分類されます。

 

原発性緑内障はビーグル、コッカー・スパニエル、バセットハウンドなどに認められます。


続発性緑内障眼内の出血、ブドウ膜炎、水晶体脱臼、腫瘍等により房水の流出路(排出路)が阻害されることにより、結果として緑内障になります。

 


<緑内障の症状>

 

・物にぶつかることがある

・涙が多い

・角膜が白く濁っている

・白眼の部分が充血している

・瞳孔が開いている

・眼をショボショボさせている

・眼が大きい

・眼が飛び出ている

・眼の周囲を触られるのを嫌がる

・眼の周囲を気にする



<緑内障の治療>

 

緑内障の治療法には内科療法と外科療法があります。

内科療法のみでは維持しきれない場合に、外科療法が必要となります。

 

内科療法では浸透圧利尿剤の点滴や複数の点眼薬を用います。

 

外科療法には様々な方法があり、状況により術式を選択します。

 

・経強膜レーザー毛様体凝固術

・シリコンボールインプラント眼内挿入術

・ゲンタマイシン硝子体内注入術

・眼球摘出術

 

 

 

シリコンボールインプラント眼内挿入術の様子

 

2017.06.30